飛ぶ男はアカデミーを獲るか?

飛ぶ男はアカデミーを獲るか?

作品賞、監督賞、主演男優賞など今年のアカデミーの最多9部門にノミネートされている『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。
ブロードウェイの舞台の上で、かつてヒーローを演じてスターとなったが今は落ちぶれた役者、人として最低な人気俳優、ブロードウェイ初出演を果たす売れない女優、薬物中毒の娘といった面々が、自分の存在を探す物語――というとカッコいいけど、自身も『バットマン』でヒーローに扮したマイケル・キートン演じる元スターのくたびれっぷりや彼を襲う不運の数々をはじめ、「イタい」でとことん笑わせてくるイニャリトゥ監督にやられた。それでいて、「必要とされたい」という誰もが抱える欲望とエゴの戦いの行く末を、切なくも生々しく、そして希望とともに描き出す、パワーをくれるエンターテインメントだ。
マイケル・キートンはじめ、ハルクを演じたエドワード・ノートン、『アメイジング・スパイダーマン』のヒロイン、エマ・ストーンといった、実際にヒーロー映画で活躍した役者たちが、成功の象徴であるスーパーヒーローものやハリウッドをブラックに斬るのも楽しい。2月19日発売の次号CUTでは、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督とマイケル・キートンのインタビューでこの作品にがっつり迫りますので、お楽しみに!(川辺)
CUT 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on