トム・ヨークはスポティファイを拝むべきだとデイヴ・スチュワートが語る
2013.10.01 12:40
元ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートは、スポティファイから音源を引き上げたトム・ヨークとナイジェル・ゴドリッチについて、その判断は間違っていると発言していて、ミュージシャンはスポティファイを拝むべきだと語っている。
トムとナイジェルは7月にアトムズ・フォー・ピースの音源をすべてスポティファイから引き上げていて、その後、トムはソロ作品『ジ・イレイザー』の音源とナイジェルは自身のプロジェクト、ウルトライスタの音源も引き上げているが、その際、ナイジェルとトムはツイートでスポティファイの提示する条件ではとても若いアーティストはやっていけないと批判し、スポティファイの仕組みについて「音楽業界の古参連中による羽交い絞め」でしかないと評している。
これに対してデイヴは『ザ・ガーディアン』紙とのインタヴューでスポティファイを擁護していて、ミュージシャンのために解決策を見出してみただけでもスポティファイは崇められるべきだと次のように語っている。
「トム・ヨークはなにか勘違いしているよ、トムとナイジェルとでね。なんか間違った入れ知恵をされてるんだよ。結局、スポティファイだけが透明性があって、ちゃんとお金も払ってるものだから、突然なんかそこが気になっちゃってしようがなくなっちゃったんじゃないのかな。でも、ソングライターとしては、ちゃんとした方策を考案しただけでもスポティファイを拝まなきゃいけないくらいだよ」
しかし、デイヴは昨年イギリスの男性誌スタッフとの取材で、自身の作品を3年間ノンストップでストリーミングしてもらったところで47ドル(約4600円)の収入しかならないと語っていて、若いアーティストだったら車のトランクにレコードを載せて売り歩いた方がよっぽど実入りがあるとも語っていた。さらにデイヴは次のように語っている。
「要するに全体量の問題なんだよね。ストリーミング業者に購読ユーザーが1億人契約していたら、確かにユーリズミックスのストリーミング収入は、バンドの全盛期におけるレコードの売上収入に匹敵するものになるだろうね」
その一方でミニストリー・オブ・サウンドは9月にスポティファイに対して訴訟を起こしたことが伝えられている。バンドはユーザーのプレイリストのトラックリストがバンドのコンピレーション・アルバムとまったく同じ内容の「コピー」となっていたため、このプレイリストの削除を要求したところ、スポティファイ側がこれに応じなかったため、著作権侵害としてスポティファイを訴えている。
なお、スポティファイ側はそのビジネスモデルが正しいものだと『NME』の取材に対して次のように8月に伝えている。
「スポティファイでは2012年に大きな増収を達成し、無料サーヴィスから有料サーヴィスへの切り替え率20パーセントを維持するという無料メディア事業として前代未聞の業績を上げていて、これは明らかにこのビジネスモデルが成功していることを伝えています。12年度の業務では、ユーザーの増加、世界的な事業拡張、商品開発に専念し、ユーザー数をうなぎ上りに増やすことに成功し、市場での浸透性を広めました。13年とその後に優先される課題は、ほかに類を見ない弊社の音楽体験をさらに多くの人たちに届けることと、弊社と音楽業界全体の長期的な成長を築き続けていくことになります」
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