ザ・ナショナルの楽曲を無断使用したロムニー共和党候補を支援する学生グループが謝罪へ
2012.10.30 20:30
来週投票が行われるアメリカ大統領選に出馬しているミット・ロムニー共和党候補の支援動画に勝手に曲を使われたとしてザ・ナショナルが抗議していた問題で、動画を制作したオハイオ大学の学生団体が謝罪を表明している。
団体は「ロムニーを支援するオハイオ大学学生の会」といって、自ら制作したロムニー支援動画にザ・ナショナルの『ボクサー』からの楽曲"フェイク・エンパイア"を使っていた。動画はユーチューブで公開されていたが、ザ・ナショナルからの抗議を受けて現在では削除されている。
バンドは学生団体から届いた謝罪を『スピン』誌に発表している。「ザ・ナショナルとザ・ナショナルのファンに対して、"フェイク・エンパイア"のメロディを使ったカヴァー演奏やリミックス音源を動画に使用したことでご迷惑をおかけしたことを謝罪します。ぼくたちとしては、2008年に『希望と変化の兆し』を感じて大統領を支持したことに嫌気が差して不満を抱えるファンを、ミット・ロムニーを支えることで新しい回復と新しい改革を実現できると信じる人々の新しいムーヴメントでもって、ひとつに集わせ、活気を与えたかったのです」。
さらに謝罪表明は次のように訴えている。
「しかし、残念なことにユーチューブでも、あるいは音楽の世界でもワシントンと同様に党派主義がまかり通っていることを知りました。ぼくたちは要請を聞き入れて動画を取り下げましたが、ワシントンにロムニーとライアン副大統領候補を迎えた方がよりよい未来が開けることを体現する音楽を使って動画をあらためて公開します」
ザ・ナショナルはかねてよりオバマ大統領の支持者であることで知られていて、当然のことながら今回の楽曲使用の件について不快感を露わにしていて、問題の動画にヴォーカルのマット・バーニンガーは次のようにコメントしていた。
「この宣伝動画にはぼくたちの音楽が許可なく使われています。きみたちが使っているこの曲(「偽りの帝国」)はまさに、ミット・ロムニーが提唱している後ろ向きな詐欺政治について歌ったものなのです。
ぼくたちはすべての学生に、オバマ大統領の寛容で、社会融和的で、思いやりを持った、前向きな政策と、ミット・ロムニーや新保守主義が掲げる自己中心的な政策との違いを学ぶように強く促します。きみたちが使ったこの曲の制作に関わった人間は1人残らずオバマ大統領に投票する人間です」
その一方でバンドは今月に入って、バンドがオバマ大統領を支援してきたことへの攻撃メールなどを送りつけられていることを明らかにしている。ギターのアーロン・デスナーはバンドが9月にオバマ大統領を支援する民主党大会に出演したことで、フェイスブックでバンドを誹謗中傷するメッセージを受けたことを明らかにしている。
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