何度も読み返せる、本当に優れた書物のようなレコードを作るということだね。そんなアプローチをロックンロールに持ち込めば、書けるテーマがどれだけたくさんあるか、想像がつくはずだ
1989年、ルー・リードが『NEW YORK』を発表した時のインタビューである。ルーだけでなくパティ・スミス・グループのレニー・ケイやヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代の仲間である映画監督のポール・モリセイから、詩作の手ほどきを受けた大学時代の恩師にまで話を聞き、ルー・リード入門としても読める厚みのある記事となっている。
プライベートに関わってくるような質問には決して答えず、自分というパーソナリティは音楽に関係ない、ただ作品だけを聴いて判断してくれ、という趣旨の発言は興味深い。言葉で説明できないから歌にしているわけで当然の話だ。
ルー・リードには私も96年の来日時に取材したことがあるが、その時に聞いた「自分は常に演じている。『本当の自分』に戻ることなど決してない。真実を伝えるために演じる必要があるのだ」という言葉は、彼の信念が終始ブレることなく一貫していたことを示している。
話し方の感じなど、確かに記憶にあるルーそのままでニヤリとさせられる。でも実際に会うと巷間言われるほどの威圧感も無愛想さも感じず、ただの喋り好きのオヤジと感じたのは内緒です。 (小野島大)
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