であるならば、機械とAIの世界を描いた“Veil”に対して、“Plankton”は人間(生物)の側を描いたものだということができる。いうまでもなく、タイトルの“Plankton”は生命の進化の原点だからだ。《あの日手放した愛の全てよ/ゆっくり燃えて消えてゆけ》という歌詞もまた、《今の所この愛についてのシステムがよくわからない》という“Veil”の歌詞と対になっている。この2曲は崩壊した未来における愛をめぐる物語なのだ。それとは少し趣が変わるのが、9月にリリースされた3rdシングル“Stay!!!”だ。Charaのボーカルをフィーチャーしたこの曲は、前2曲と較べても格段にキャッチーに仕上げられている。実写とアメコミ調のカートゥーンを組み合わせたMVもかなりニュアンスが違う……ように見える。だが、その楽曲とビデオに描かれるストーリーを読み解いていくと、実は通じているのではないかと思えてくるのだ。
女の子と飼い犬がエサを巡って戦いを繰り広げるというコミカルなコンセプトの映像だが、Charaのスウィートな声で歌われる言葉を追っていくと、これがいわばラブソングであることがわかる。“Stay!!!”というタイトルにも、犬に対する「待て」と「ここにいて」の意味が重ねられているのである。《リトルファットベイビー怖がっているんでしょう》というフレーズはセクシャルな匂いも感じさせるし、間違いなくこれはある「愛のかたち」についての歌だ。そして前述の通り、そのテーマは“Veil”、“Plankton”の2曲とも通じている。なぜ常田が「愛」に固執するのかはここでは論じないが、ひとつだけいえるとすれば、それはいつどんな場所でも人間の営みの根源にあるからだと思う。人間の営みという意味では、12月6日にリリースされた彼らの最新曲“lost and found”はますます示唆的だ。病院のベッドで呼吸補助機を付けて眠っている女性が起き上がり、ダンスを踊り出す。トム・ヨークとポール・トーマス・アンダーソンがコラボレーションしてNetflixで公開した短編『ANIMA』にも通じるようなムードを持つこのMVは、音楽と映像のコンビネーションという意味でも、そこに込められたテーマという意味でも、現時点におけるmillennium paradeの到達点だといえると思う。肉体的なビートとコンテンポラリーなダンスパフォーマンス、そこにCGが組み合わされてmillennium paradeの世界をかなり具体的に、そして象徴的に示しているからだ。
“lost and found”というタイトルが示唆するように、そして病院のベッドから起き上がるというシークエンスが物語るように、この曲には「再生」のイメージが強く刻まれている。「愛」から、さらに根源にある「命」へと、millennium paradeのモチーフは深化しているのである。それは“Veil”から“Stay!!!”まで描かれていた世界と物語の「次」を予感させるものだし、状況説明的だったこれまでの3曲に対して強いメッセージを感じさせるものでもある。2020年、millennium paradeは東京の未来をどう描くのだろうか。(小川智宏)