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    AIR JAM 2018と今のハイスタが教えてくれたこと

    AIR  JAM 2018と今のハイスタが教えてくれたこと
    語るべきことは無数にある、特別な瞬間だらけの1日だったが、とにかくひとつ、とてつもなく重要なことを今回のAIR JAMと今のHi-STANDARDが教えてくれたことを書き残しておきたい。
    それは物議を醸したと言ってもいい今回のタイムテーブルと大いに関係がある。
    今回の出演ラインナップとタイムテーブルでハイスタが教えてくれたことは、正解はアーティストがステージに立って音を鳴らす前に出るものではないということだ。
    実際にフェスが始まってひとつ、またひとつアクトが始まるたびにそれを実感していった。
    トップバッターのBRAHMAN、ヒップホップアーティストとしてひとりでステージに立ったKOHH、誰もが出演に驚いたThe Birthday(チバの「今日はおまえらとAIR JAMだ!」の一言、カッコ良かった)、バンドの出演者中で最若手ながらトリ前にラインナップされた04 Limited Sazabys(音楽と意志の両軸が本当にタフだった)をはじめ、どのバンドもステージ上で音を鳴らしながら答えを出すしかなかった。
    しかし始まる前に誰もが「正解だ」と感じるラインナップとタイムテーブル、それはきっと正解ではない。
    少なくともAIR JAMというフェスはそんな正解を望んでいない。
    フォーリミのGENは、18年前のAIR JAMや90年代のハイスタを体験しているお客さんも自分にとってはレジェンドの一部だと語っていた。
    今のハイスタは、AIR JAMのあらゆるお客さんに事前にネット上で「正解」「不正解」を決めてしまうのではなく、ひとつひとつのステージを観て自分にとっての「正解」を感じることができるカッコいいオーディエンスであり続けろと言っていたと思う。

    そして何より強く思ったのは、ハイスタ自身がステージで音を鳴らすことでしか答が出ないバンドであるということだった。
    もしそうじゃなかったらハイスタのライブは、復活後初のライブをピークにしてその感動と興奮が徐々に下がっていってしまうはずだ。
    しかし僕は毎回、ハイスタのライブを観るたびにめちゃくちゃ感動するし、めちゃくちゃ興奮する。
    しかもその感動と興奮は、それぞれの瞬間に3人が答えを出した、常に違う形をしている。
    今日のハイスタのライブも、ここ最近日本を襲った出来事、今の政治や社会の状況、音楽シーンの状況、18年ぶりにこのマリンスタジアムでAIR JAMを開催するまでのそれぞれのメンバーの物語、それぞれの出演バンドとの物語、すべてがあって成り立つパフォーマンスになっていた。
    ピースマークやハートマークの花火が上がるなか、ライトが付ききった状態で、ステージ上も客席も大きなサークルで繋がりまくっていた“mosh under the rainbow”は、デジャヴのようでありながら真新しくも感じる天国の光景だった。(古河晋)
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