この4月からMBSやTBS、WOWOWほかでオンエアが開始されているTVアニメ『迷家‐マヨイガ‐』。《現実の世界に絶望している…退屈な日常を抜け出したい…人生をやり直したい…》という人々がバスツアーで幻の村での生活を目指し、《それぞれの思惑や心の傷を抱えた30人を乗せ、バスは山奥深くへと導かれてゆく……》(『迷家-マヨイガ-』公式サイト内、イントロダクションより抜粋)といった舞台背景を持つ作品である。「後援会」と名付けられたクラウドファンディング形式の支援を視聴者から募っているのも特徴的で、すでに目標金額の245%(4/26現在)を越える支援を受けているそうだ。
そんな『迷家‐マヨイガ‐』のエンディングテーマ曲“結露”を手掛けているのが、福島県出身のシンガーソングライター・片平里菜だ。“結露”は、今夏デビュー3年目を迎えようとしている彼女にとって初のアニメタイアップ曲であり、リリースは4月27日。《傷》や《過去》といった、アニメのシナリオやテーマを引き受ける印象のフレーズも散りばめられた、とても美しいナンバーだ。
ショートヴァージョンのMVも公開されているが、こちらは孤独な表情を浮かべた女子学生のドラマとなっている。今にも消え入りそうなハイトーンの歌い出しから繊細さが立ち上り、《ついた傷が その寂しさが/いつか誰かを癒す優しさに変わる/誰かを癒す優しさに変わるでしょう》と、温かく膨らむサビのメロディで祈りにも似た思いを運ぶ。これだけでも、入り組んだ心模様を伝える片平里菜の力量は充分に伝わるのだが、その後さらにまったく異なるメロディを持ち込み、ドラマティックに楽曲を構成している点が凄い。本当に才能豊かなメロディメーカーだと、痛感させられる。
彼女の音源作品は、著名アーティストたち(亀田誠治やASIAN KUNG-FU GENERATION・山田貴洋、HAWAIIAN6・安野優太、SCANDAL、cinema staff、etc.)がアレンジを手掛けてきたことでも知られるが、この“結露”も落ち着いた曲調の中にリッチなサウンドが立ち上ってきて素晴らしい。またカップリング曲は、勝気な女子メンタリティをキュートな節回しが追い越してゆく“カフェイン”と、ソロ弾き語りで孤独な心象を際限なく押し広げてゆく“ながれぼしのうた”の2曲。どの曲も6月からスタートする弾き語りツアーで披露されることを楽しみにしていたい、濃厚なシングルである。(小池宏和)