昨年新作『ア・ベター・トゥモロウ ~ウーが描く未来』をリリースしたウータン・クランだが、その後、世界に一部ぽっきりの作品として準備されていた『Once Upon a Time in Shaolin』が評判の悪い医療投資家のマーティン・シュクレリによって買い付けられたことが明らかになっている。
『Once Upon a Time in Shaolin』はCD2枚組の内容になっているが、オランダ出身のウータン・ファミリーDJのシルヴァリングスが数年にわたって制作を続けて、作品としては昨年完成し、モロッコのマラケシュにあるロイヤル・マンスール・ホテルで保管されていた。作品はオークション業者のパドル・エイトを通じて競売にかけられ、競りが続いている時点でエルヴィス・プレスリーやザ・クォリーメン(ザ・ビートルズの前身バンド)のレコードを凌ぐ、世界で最も高価なレコードとしてギネスブックにも認定されることになった。
しかし、その後11月にこの作品を200万ドル(約2億4400万円)で競り落とした「個人的なコレクター」がマーティン・シュクレリだったことをブルームバーグ・ビジネスウィーク誌が突き止め、にわかに批判を集めることになっている。というのも、シュクレリはHIV感染者やがん患者の免疫力を補う薬剤であるダラプリムのアメリカでの製造権を独占的に買収し、それ以降、ダラプリムの価格を1錠あたり13ドル(約1585円)から750ドル(約9万1500円)もしくは880ドル(約10万7360円)へと価格改定した人物として知られているからだ。
その後、ウータン・ファミリーのリーダー格のRZAはシュクレリへの売却を決定した時点でシュクレリのダラプリム製造権買収の話はまだ明らかになっていなかったと釈明していて、シュクレリによって支払われた代金の大半はチャリティに回すつもりであることをビジネスウィーク誌に説明している。
なお、作品売却時の取り決めでは『Once Upon a Time in Shaolin』は作品として一般に売ることはできないことになっているが、無料で内容を配信したり、公の場で再生したりすることは認められているという。しかし、ビジネスウィーク誌の取材にシュクレリはまだ作品を聴いてさえいないと明かしていて、「テイラー・スウィフトがどうしても聴きたいというのなら聴いてみてもいいけど、気が向くまでは取っておこうと思っている」と語っている。
コンプレックス誌が報じた『Once Upon a Time in Shaolin』の内容は以下の通り。
『Shaolin School』
Entrance (Intro) (1:57)
Rivals (4:12)
Staple Town Pt. 1 (Interlude) (0:44)
Ethiopia (7:55)
Handkerchief (0:49)
Staple Town Pt. 2 (Interlude) (1:10)
The Pillage of ’88 (6:52)
Centipedes (7:14)
The Widow’s Tear (3:55)
Sorrow (5:45)
『Allah School』
Sustenance (Intro) (0:43)
Lions (6:08)
Since Time Immemorial (2:32)
The Slaughter Mill (6:31)
The Brute (3:24)
Iqra (7:23)
Flowers (5:49)
Poisoned Earth (4:34)
Shaolin (6:14)
Freedom [Interlude] (2:25)
The Sword Chamber (4:05)
Unique (2:32)
The Bloody Page (5:09)
The Saga Continuous (6:58)
Salaam (Outro) (1:31)
Shaolin Soul [Exit] (3:41)