ロックンロール名誉の殿堂入り式典。デイヴとクリスのニルヴァーナ・スピーチ

ロックンロール名誉の殿堂入り式典。デイヴとクリスのニルヴァーナ・スピーチ

4月10日にニューヨークのバークレイズ・センターで開催された式典でロックンロール名誉の殿堂入りを果たしたニルヴァーナだが、プレゼンターを果たした元R.E.M.のマイケル・スタイプ、ニルヴァーナのデイヴ・グロールとクリス・ノヴォセリック、カート・コバーンの母親ウェンディ、そしてカートの未亡人コートニー・ラヴがそれぞれにバンドとカートを振り返るスピーチを披露することになった。

マイケル・スタイプに続き、デイヴ・グロールは次のように感謝を込めてバンドの歩みや初期の活動を振り返ってみせた。

「俺はニルヴァーナでは無口なメンバーだったんだ。ドラマーだったからね。でも、みんなあんまり知らないだろうけど、俺は実は5人目のドラマーなんだよね。あれこれあってね、俺は世界で一番ラッキーな男になって、ニルヴァーナのメンバーにもなれたんだよ。

でも、俺には自分の前にドラマーを務めてきた歴代ドラマーへの敬意を表する義務があるんだよ。アーロン・バークハード、どうもありがとう。そして、メルヴィンズのデイル・クローヴァー、この人は俺の絶対的なドラム・ヒーローなんだ。そして、ニルヴァーナのドラマーだった、チャド・チャニング。チャド、どこにいる? 今日来てるはずなんだけどな。どっかにチャドいない? チャド、どっかにいるよね? (テレビ・カメラに指差して)それともそっち? チャド! とにかく、俺が言いたかったのはね、チャドのやったことみんな知ってる? "イン・ブルーム"とか聴くとね(とイントロを歌い出す)、これがチャドなんだよ。俺がバンドが加わった時にはチャドのパートを叩かせてもらうという光栄に与かることになったんだ。というわけで、ドラムを同じように叩かせてもらえてありがとう。すごく感謝してます。それとニルヴァーナと1回叩いたことのあるマッドハニーのダン・ピーターズ。ダニー、ありがとう。

それ以外にもこれを可能にしてくれたたくさんの人たちがいるんだよ。みんなも知らない人たちがたくさんね。たとえば、ヴァージニア州スプリングフィールドで俺と育った人たちとかね。マイケルもさっき言ったけど……(スプリングフィールドから駆けつけたという会場の観客が数人声を上げたのに対して)マジで? ここまでの電車賃とか払えたわけ?

とにかく、俺たちはアンダーグラウンドなパンク・ロック・シーンの出身で、そういう世界じゃ賞とか式典とかトロフィーとかないからさ、とにかくマジでやるんだっていうことだけがすべてだったんだよ。その報酬は、うまくやれた時とか、それとマジでやって音楽コミュニティを分かち合えるってことにあったんだね。ほかのミュージシャンたちを支え合ったり、人にインスピレーションを与えたりとか。だから、俺はワシントンDCのパンク・ロック・シーンで育つことになって本当にラッキーだったんだよね、いろんなすごいミュージシャンにインスピレーションを受けてね。名前を挙げてたら切りがないんだけど、クリス・ペイジからラルフやデイヴ・スミスやルーベン・ラディング、ピーター・スタールやフランツ・スタール、それとスキーター・トンプソン、俺がこれまで一緒に演奏してきたみんな、バレット・ジョーンズとか、みんなに感謝しなきゃならないんだ。みんななくしては今俺もここにいなかったはずだからね。

それと俺たちが活動を始めた頃、さっぱりビジネスについてわかってなかったことも幸運だったよね。俺たちほとんどヴァンで生活しててさ、バンドTシャツを売ってその金でアメリカンドッグを買っては食い繋いでたんだよ。その後、ジョン・シルヴァというマネージャーとリー・ジョンソンという会計士にも出会えてラッキーだったよね。その後、俺はこの二人の人間から一度も離れたことがないと、そう言えることもまた幸せだよ。25年だぜ! それだけあれば膨大な数の人と関わってくるし、そのほとんどのことはいずれ忘れちゃうんだろうからね。

それとなによりも実家の家族にも感謝しなくちゃならないし、音楽的な家庭に育って音楽をやるのを後押ししてくれる家族にも恵まれてたからね。ファッキン・スレイヤーなんて聴いてるんじゃないってそんなことは言わない親に恵まれたっていうかさ。時にはマジでほんとにひどいもん聴いてたからね! でも、俺の両親はやめろとは一度も言わなかったし、それは俺の自分探しだったからなんだよね。というわけで、おふくろ、ありがとう。高校中退した時も許してくれて(と笑いながらトロフィーを指さす)。キッズのみんなは学校やめない方がいいよ、それとドラッグはやらないようにね。ろくなもんじゃないから。

それと俺には出来過ぎの妻のジョーディンと娘二人にも感謝するよ。娘たちには俺が育ちながらインスピレーションを受けてきた数々のミュージシャンたちのように、いずれ人を触発していくような大人に成長してもらえばと思う。というのは、それが肝腎なことだからだよ。自分のヒーローを慕って、でも、威圧されるようじゃ意味ないからさ。インスピレーションを受けないとね。だから、自分の部屋に飾ったポスターの人物を眺めて『俺になんか出来っこない』って思っちゃだめなんだよ。そのポスターを眺めて『俺もいつかああなるぜ!』って思わなきゃダメなんだ」

続いてクリス・ノヴォセリックは次のようにスピーチを述べた。

「マイケル、すごい紹介をしてくれてありがとう。それとロックンロール名誉の殿堂にも感謝です。俺としてはニルヴァーナのファン全員に感謝したい。ニルヴァーナのファンには毎日のように街で歩み寄られて語りかけてもらってるんだ。『音楽をありがとう』って。そう言われると、俺はいつもカートのことを思い出すんだよ。

だから、俺はカート・コバーンにも感謝したいし、それと今夜ここにカートがいたらなあって思うわけだよ。あの音楽があまりもたくさんの人たちにとって大きな意味を持っていて、新しい世代や新しいファンがどんどんついてくれていて、すごくパワーのあることになってるんだと。カートは本当に情熱的なアーティストだったから、たくさんの人たちと繋がることに成功したんだよ。

ニルヴァーナはワシントンのアバディーンで活動を始めたんだけど、ワシントンといってもワシントン州だよ、とにかく、地元には俺たちのようなバンドを支えるインフラがよく整ってたんだよね。音楽コミュニティのようになってたんだよ。だから、サブ・ポップ・レコードとワシントン州シアトルの音楽コミュニティに感謝したいよ。あと、バズ・オズボーンに感謝したくて、バズ、俺たちと一緒にパンク・ロック・ミュージックに加わってくれてありがとう。それと俺たちのファースト・アルバムのレコーディングをしてくれたジャック・エンディーノにも感謝。スティーヴ・アルビニとブッチ・ヴィグ。それと俺たちをまっとうな形で音楽業界に橋渡ししてくれたスーザン・シルヴァーにありがとう。みなさん、ありがとう」
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