シリアスさや艶っぽさというアルカラの新しい一面が出た前作『ドラマ』を経て届けられる6thアルバム。名作絵本『モチモチの木』からインスパイアされた『むにむにの樹』というタイトルは思わず触ってみたくなるほど心地よさそうだが、中に詰まっているのはトリッキーな毒を忍ばせた8編のおとぎ話だ。おとぎ話とは社会の条理をやさしく教えてくれるものだと思うが、アルカラ流おとぎ話から感じるのは「生きていればどうしようもないことはある」という鋭利なメッセージ。だって冒頭から《「いつかきっと」だとか/「どきどき」と「ワクワク」だけで/生きてはいけないのさ》(“名探偵ミスタ相棒はジョニー”)とシビアな言葉が並ぶのだ。でもそうやって現実を生きて流れる涙があってこそ花は咲く、と歌う。《涙を呑み込んで そこからにょきにょきと(中略)咲いて 咲いて 咲き乱れて/赤 白 黄色 紫 青/涙をきゅっと つまんだ様な花びら》(“むにむにの樹のおはなし”)。カラフルでポップなサウンドにこの言葉が乗るからこそ、ぐっと来る。大人になったアルカラだからこそ放てる力強さだ。(小新井知子)