この方向もアリ

ラ・ラ・ライオット『ベータ・ラヴ』
2012年01月09日発売
ALBUM
ラ・ラ・ライオット ベータ・ラヴ
あれれ、こんなバンドだったっけ。ブルックリン発のラ・ラ・ライオットの2年半ぶり3作目。モデスト・マウスやエルヴィス・コステロなどを手がけるデニス・へリングをプロデューサーに迎え、米南部オックスフォードでレコーディングされた。
 
メンバーの発言によれば、これまでとはまったく異なった環境・やり方で制作に臨んだらしいが、それ以前に、チェロ担当のメンバーが抜けて、後任を入れず4ピースでバンドを継続させることを選んだ時点で、当然大きくサウンドは変わってくる。前作までのチェンバー・ポップ的な面は後退し、代わってシンセ・ポップに接近した一作だ。このバンドの美点でもあった優雅で浮世離れしたバロックな側面は薄れ、もっとコンパクトでオプティミスティックでコンテンポラリーなポップ性が前面に出た。ヴォーカルも前に出て、要は「今ドキのパワーポップ」に近づいている。この変化はおそらく賛否両論だと思うけど、彼ららしいアーティスティックで端正なインテリジェンスはちゃんと残っているので、そう大きな違和感はないし、新たな方向性として、今後大きく花開きそうな気配もある。注目。(小野島大)
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする