白鳥の歌

ダリズ・カー『イン・グラッド・アローンネス』
2012年04月04日発売
ALBUM
ダリズ・カー イン・グラッド・アローンネス
28年ぶりの新作。昨年亡くなったミック・カーンと、ピーター・マーフィーのユニットの2つめの音源である。ミックの死の直前まで制作が続けられ、残された音源のリリース予定がピーター自身によって明かされたのはもう1年ぐらい前のことだ。

手元の資料でははっきりしないが、完成途上だったトラックをピーター中心で仕上げたものと思われる。28年前の作品と比較するのもナンセンスだが、ミック・カーンの得意なフレットレス・ベースを軸とした奇妙なバック・トラックにピーターがゲスト・ヴォーカルで歌っているような微妙なバランスの悪さが良くも悪くもダリズ・カーだったとすれば、今作はピーターの個性とミックのアクの強さがはるかに自然と溶け合っている。中近東風のエキゾティシズムを感じさせる無国籍風なムードは以前通りで、ストリングスやピアノなどをフィーチュアしたディープで時にクラシカルなトラックは、音楽として完成度が高い。

個人的にはファーストよりもきちんとしたポップ・ミュージックとして成立している本作のほうをとるが、ミックのベースを中心に聴きたい人にはやや期待外れかも。(小野島大)
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