時代に必要な希望の歌

eastern youth『歩幅と太陽』
2009年08月05日発売
ALBUM
eastern youth 歩幅と太陽
昨年は結成20周年を迎えて、ベスト盤などをリリースしたイースタンが、約1年9ヶ月となるオリジナル・アルバムを完成させた。前作『地球の裏から風が吹く』では、レコード会社の移籍に伴い、最後のアルバムになるかもしれないという決意で制作されたこともあって、彼らの命の真ん中が燃えているような気迫を感じたが、今作は、多くのバンドやリスナーに祝福された昨年の節目も関わっているのか、全面的に聴き手に希望を与えているような印象である。さらに、月日を経ても衰えぬ、拳を握りたくなるエモーショナルな演奏と、自分の心の柔らかいところが震わされるような吉野の歌詞だけでも素晴らしいのだが、それが今の時代ともリンクして聴こえてくるのだ。“一切合切太陽みたいに輝く”、“いつだってそれは簡単な事じゃない”などといったタイトルからも伝わるだろうか。不況の現実と、それでも生きていくことの価値が、全編において美しく響き渡っているのだ。《クソ喰らえだ!》、《明日を撃て!》。そう連呼する吉野の姿は、どんな景気対策よりも、ありふれた日常を生きる僕らに勇気をくれる。(高橋美穂)
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