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まず、暴れ太鼓にギターリフが重なるイントロが抜群にかっこいい。そこから一旦クールダウンし、《一十百と千万億分の一の私は今日も行く/淡々単調な靴を鳴らして/一十百と千万億分の一の私は今日も行く/段々ダンスに愛想尽かせて》と歌い出される。追い風を纏うように勢いを増してゆき、疾走感に満ちたサビに突入。Oの音で踏む韻が印象的で、ライブではシンガロング必至だろう。さらに、2回目のサビ終わりには《一十百と千万億分の一の私は今日も行く/淡々単調な音を外れて/計算尽くのダンスを捨て》とこの曲の主人公が己の金字塔を打ち立てるべく一歩踏み出したことが歌われ、イントロよりさらに流麗さを増したギターリフが響き渡る。ここで達するカタルシスは楽曲のハイライトと呼ぶに相応しい。TVドラマ『プライベートバンカー』の主題歌として書き下ろされ、詞作・曲作共に物語を加速させる推進力を宿しつつ、ロックのロマンを凝縮したような演奏の輝きにこそ何より撃ち抜かれる。ロックバンドの矜持が滾っている。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)
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