2月5日に大成功を収めた初の日本武道館公演を前にリリースされた配信シングル。めでたく武道館のステージで初披露されたわけだが、こういうタイミングで出すシングルには、大舞台を前にした気合とか、未来へ向けての想いなんかが描かれがちだ。しかし、この曲にあるのは、Saucy Dogが長らく歌い続けてきた「日常」と「愛情」。「君」とふたりだけの間にある、ミニマムな世界だ。《昨日の喧嘩を君はまだ怒っているかな/時間が解決したら良い訳ではないよね 分かってる》《あの日の喧嘩も知らない間に終わっていたけど/そういえばあれって解決したっけ?/また些細な事だった気がする》と、まるで独り言をぼやくような、日記のような距離の近さで歌われる石原慎也の詞。くだらない喧嘩の次の日、怒ってるかな、謝ろうかな、仲直りできるかな、なんて思う時間に“sugar”とタイトルを付け、文字通り極上の甘いラブソングに仕立て上げるSaucy Dogのセンスに心を掴まれてしまった。幸せはこんなにすぐそばにある。今の時代だからこそ大切にしたい宝物のような1曲だ。(後藤寛子)
すぐそばにある甘い幸せ
Saucy Dog『sugar』
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