継続する深化

トロ・イ・モワ『ホワット・フォー?』
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ALBUM
トロ・イ・モワ ホワット・フォー?
ダンス・プロジェクトのレ・シンズ名義のアルバムを挟んで、約2年ぶりとなる4th。トロ・イ・モワといえばチルウェイヴ。そんなイメージを未だお持ちのリスナーは少なくないかもしれない。が、当時のシーン後も彼が第一線で活動し続けている理由──それは彼が作品を重ねるごとに音楽性を深化させ続けているからに他ならず、とりわけ2nd以降のR&Bやソウル~ファンク路線を突き詰めた前作『エニシング~』は見事だった。

そして今作だが、またしてもチャズ・バンディックは華麗な手捌きでその豊富な音楽ボキャブラリーを纏め上げている。本人曰く、ビッグ・スターやトーキング・ヘッズ、トッド・ラングレン、さらに70年代のブラジル音楽にインスピレーションを得たという今作。その固有名詞自体に新鮮味はないものの、はたしてサウンドは、ソングオリエンテッドな魅力がより際立てられたサイケデリックでメロディアスな様相に。引き続きドリーミーな色彩感やドープなグルーヴは健在ながら、音像は幾分クリアな明度を増した印象。アンノウン・モータル・オーケストラのルーベン・ニルソンらゲスト陣が演奏の脇を固めている。(天井潤之介)
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