メガデスのフロントマンであるデイヴ・ムステインが咽頭がんの治療中であることを公表したのは、去る現地時間6月17日のこと。彼はバンドのオフィシャル・サイト上に「咽頭がんだと診断された。過去に直面してきた諸問題同様、これが今、自分が尊重すべきこと、真っ向から向き合うべきことであるのは明らかだ」という書き出しのメッセージをアップしており、そのなかで、すでに医師たちのチームと密接に取り組みながら治療計画を立てていること、すでに治療がスタートしていて、90%の成功率が見込まれている事実を伝えている。
この影響により、バンドは年内に予定されていた大半のライブを中止せざるを得なくなった。デイヴは同じメッセージのなかで、彼ら自身の主宰によるクルーズ・ツアー「MEGACRUISE 2019」には何らかの形で参加するとの意向を明かしながら、可能な限り早くロードに戻るつもりだとも発言している。このクルーズは10月13日から18日にかけて実施されるもので、メガデスの他にもアンスラックス、テスタメント、スイサイダル・テンデンシーズ、クイーンズライク、オーヴァーキルなどの出演が決定している。
6月24日現在、メガデスのオフィシャル・サイトに今後のライブ・スケジュールとして掲載されているのは、このクルーズのみとなっている。10月6日にはチリのサンティアゴで開催されるフェス「Santiago Gets Louder」でスレイヤー、アンスラックスと共演することになっていたが、残念ながら同フェスへの出演はキャンセルとなり、スレイヤーのチリ最終公演(同バンドのフロントマン、トム・アラヤはチリ出身である)に花を添えることは叶わなくなった。また、10月31日にはコロラド州デンバーにて『ユースアネイジア』の発売25周年記念ライブが開催されることになっていたが、こちらも白紙ということになった模様だ。ただ、それでもメガデスは完全に立ち止まっているわけではなく、治療に取り組みながらもスタジオワークを進めているのだという。『ディストピア』(2017年)に続く次なるオリジナル・アルバムの制作も進行中であることをデイヴは認め、「早くみんなに聴かせたくてたまらない」と述べている。
彼の綴ったメッセージは、家族やドクターたち、トレーナーやバンドメイトたちへの感謝の言葉をもって締め括られているが、この文面が発信されてからというもの、ブラック・サバス、ジューダス・プリースト、キッス、アンスラックスといったさまざまなミュージシャンたちが、異口同音にデイヴのスピーディな回復を願うお見舞いメッセージをアップしている。来年にはデビュー・アルバムの発売から数えて35周年を迎えることになるメガデス。今は何よりもデイヴの全快を信じながら、その記念すべき年が晴れやかなものになることを願いたいものだ。
そして、実はこの記事を書き終えた約半日後にあたる現地時刻の24日、メガデスのオフィシャル・サイトやデイヴのTwitterアカウントには、この一件の公表以来、彼のもとに寄せられた激励の数々に対するお礼の動画メッセージがアップされている。
デイヴの一刻も早い完全復活を祈らずにはいられない。(増田勇一)