90'Sエモ・シーンを牽引したミネラルの来日ツアー「MINERAL Japan Tour 2019」が6都市8公演で開催。テキサス発の4人組の彼らは1994年に結成され、数枚の7インチや1stアルバム『The Power of Failing』(97年)、2ndアルバム『End Serenading』(98年)と僅か2枚のオリジナル・アルバムを発表して解散。それから16年の月日を経て、突如2014年に再結成し、ここ日本には2015年に初来日して待ち続けていたエモ・ファンを号泣させた。
そして、今回はバンド結成25周年という大きな節目に約4年ぶりとなる再来日が決定。ツアー序盤戦にあたる東京3公演はすべてソールド・アウトとなり、改めて日本におけるミネラルの人気の高さを証明する形となった。
僕は東京3デイズの最終日・3月18日に新代田FEVER公演を観てきたが、これが文句なしの素晴しさだった。この日の対バンHUSKING BEEの平林(G・Vo)擁するエモ/インディー・ロック・バンド、The Firewood Projectが場をしっかりと温めた後、遂にミネラルが登場。序盤はメランコリーな歌声と演奏で攻め、観客を奥深いエモーションへと誘っていく。
それから徐々にエンジンを加速させ、繊細にして重厚なバンド・アンサンブルを解き放つ。とりわけ、どこまでも伸びるクリス・シンプソン(Vo/G)のボーカルは絶好調で、時折声が掠れる場面もあったけれど、それさえも味わい深さに昇華するタフな魅力に富んでいた。また、実に20年ぶりになる新曲“Aurora”も披露してくれ、彼らの現モードが感じられる良質曲に思わず溜息が零れるほど心酔した。
そして、ひときわ大きな歓声が上がり、場内を完全覚醒させたのは1stアルバムの冒頭を飾る“Five,Eight And Ten”〜“Gloria”の流れだろう。特に後者では観客も一緒に歌い、拳を天に突き上げ、過密状態のフロアに激しいモッシュまで起きる白熱の盛り上がり。間違いなく、今日のハイライトのひとつと言える至福の瞬間であった。それ以降もヘヴィ/ラウド系バンドにも負けない爆発力漲る演奏で圧倒したりと、動静のダイナミズム溢れるサウンドで魅了し続けてくれた。
気付けば、前回の来日公演を軽く上回る曲数を演奏し、エモーショナル極まりないミネラル・ワールドをたっぷりと堪能。いや、今回の来日公演は観た方はとてもラッキーだと思う。
なお、今ツアーは東京3デイズを終え、静岡、名古屋、金沢、京都、最終の大阪(3月23日)公演で幕を閉じる。ほぼソールド・アウトに近い会場もあるようだが、是非これを機に来日公演に足を運んでもらいたい。(荒金良介)
ジャパン・ツアーの詳細は特設ページをご確認ください。