映画『ボヘミアン・ラプソディ』の10の見どころ一挙ご紹介。フレディ・マーキュリーの伝説がついに蘇る!

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の10の見どころ一挙ご紹介。フレディ・マーキュリーの伝説がついに蘇る! - © 2018 Twentieth Century Fox© 2018 Twentieth Century Fox

いよいよ今週末11月9日に全国公開を控えた『ボヘミアン・ラプソディ』。フレディ・マーキュリーとクイーンを描いた映画の決定版として公開前から話題沸騰の同作だが、ここではそんな『ボヘミアン・ラプソディ』の10の見どころを厳選してご紹介したい。


冒頭から見逃せない、「20世紀フォックス」のロゴタイトルが特別バージョンに

『ボヘミアン・ラプソディ』の配給は20世紀フォックス。20世紀フォックスと言えばオープイングのロゴタイトルのファンファーレが有名だが、今作のファンファーレはブライアン・メイとロジャー・テイラーが新録したクイーン・バージョン! ここで一気に盛り上がるので、見逃さないように時間に余裕を持って劇場に向かうべし。


フレディ・マーキュリーを演じるラミ・マレック、プレッシャーをはねのけた熱演に拍手!

『ボヘミアン・ラプソディ』は、その完成に至るまで様々な紆余曲折を経た難産の映画だった。監督のブライアン・シンガーが途中降板したことにも、監督と制作陣&バンドとの間で、物語のコンセプトや着地点についてコンセンサスを取ることが難しかった内情が伺える。中でも難航を極めたのがフレディを演じる主演俳優の配役だ。サシャ・バロン・コーエンからベン・ウィショー、しまいにはダニエル・ラドクリフの名前があがるほどの迷走で、ようやくラミ・マレック(『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』他)に決定すると、彼の両肩には途方もないプレッシャーがのしかかることになった。

しかし、マレックはそのプレッシャーを自らの力に変えて、唯一無二のカリスマ、フレディ・マーキュリーを見事に演じきってみせた。コンプレックスを抱えたナイーヴな青年が光り輝くロック・スターへと変貌を遂げ、しかし自らの光が作り出した濃い影の中では常に孤独に苛まれていた――そんなフレディ・マーキュリーという複雑なキャラクターの命を一挙手一投足に宿した彼の没入型の熱演なくして、本作の成功はありえなかっただろう。


フレディだけじゃない、クイーンの4人それぞれのキャラクターが秀逸

とにかく「そっくり」と絶賛のラミ・マレックのフレディだけれど、素晴らしいのは彼のフレディだけではない。クイーンを演じた4人の役者がそれぞれにハマり役なのだ。中でもブライアン・メイを演じたグウィリム・リーは、ビジュアルが激似なのはもちろんのこと、ふとした仕草やギターを弾く際の腰の落とし方に至るまで相当の作り込みっぷり。

ロジカルでインテリのブライアン、一見チャラそうだけど、その内はどこまでも熱く優しいロジャー・テイラー、4人の中では最も控えめだけれど、要所要所でピリッと存在感を示すジョン・ディーコンと、4人の個性の違いがはっきりと、そして丁寧に演じ分けられているのもファンにはたまらないはず。

マイク・マイヤーズが意外なキャラクターで登場!「あの人」もカメオ出演?

伝記映画である『ボヘミアン・ラプソディ』には、クイーンの4人以外にも多くの実在の人物が登場する。中でも当時のEMIの重役Roy Featherstoneをモデルにしたと思しき役、レイ・フォスターを演じているのはなんとマイク・マイヤーズ。言われないときっと気づかないレベルの変装での出演なのだが、『ウェインズ・ワールド』でマイヤーズ演じるウェインたちが“Bohemian Rhapsody”を熱唱するシーンを思い起こしながら観ると、さらに味わい深いシーンがあるのでお楽しみに。また、クイーンと所縁のある某シンガーも一瞬カメオ出演しているそうなので、こちらもぜひチェックを。ちなみに私は見つけられませんでした。

完全再現に興奮必至! “ボヘミアン・ラプソディ”誕生の裏側

本作にはもちろん全編にわたってクイーンの名曲の数々がフィーチャーされているが、中でも必見なのが数々の名曲の「誕生」の瞬間を克明に再現したシーンだ。特に“Bohemian Rhapsody”の再現密度は群を抜いていて、史実として有名な24トラックのマルチ・トラック・レコーダーを用いての途方もない伝説のレコーディングが、今まさにここで生き生きと立ち上がってくるのだ。

聖歌隊仕込みのロジャーのファルセット・コーラスの録音シーンも最高だし、この他にもブライアンの“We Will Rock You”や、ジョンの“地獄へ道づれ”がいくつもの偶然が重なって生まれた経緯が明かされるのもマジカル!


スクリーンを彩った、フレディと日本の深い絆

クイーンの下積み時代から熱狂的に彼らを愛し、支持した日本のファンと彼らの関係性は、フレディの伝記映画を撮るならば必須の要素と言っても過言ではない。この『ボヘミアン・ラプソディ』では、フレディがプライベートでくつろぐ際にしばしば身に纏っている着物や、ロンドンやミュンヘンの邸宅に飾られた伊万里焼や掛け軸などによって、さりげなく、そして繰り返しフレディと日本の深い絆がスクリーンを彩っていく。フレディの日常に当たり前に溶け込んでいた「日本」は、セリフによって説明されるよりもずっと饒舌なのだ。

描かれたものと、描かれなかったもの。伝記とフィクションの狭間の物語

『ボヘミアン・ラプソディ』はフレディ・マーキュリーの伝記映画であるのに違いはないが、本作ではいくつか史実と異なる描写が意図的に含まれている。また、もろにネタバレになってしまうので詳細は省くが、本作にはフレディのキャリアにおいて描かれていない時期や、真実と呼ぶべきものを敢えて秘匿した演出もなされている。

つまり、伝記の中にフィクションが含まれているとも言えるし、そのフィクションの部分において「フレディ・マーキュリーの本当の姿」を描こうという本作のスタッフの意気込みが感じられる。その全てが成功しているとは言わないが、私たち一人一人が持っている自分だけの「フレディ」と照らし合わせながら観る体験は、やっぱり特別なのだ。


メアリー、ジム、そして猫。フレディ・マーキュリーを支えたもの

本作の制作陣は稀代のスーパー・スター、フレディ・マーキュリーの繊細な内側を描こうとしている。フレディと終生近しい関係だったメアリー・オースティンや、彼の最後の恋人として知られるジム・ハットンとのシーンは、まさにそのために丁寧に撮られている。また、フレディが大の愛猫家だったのは有名な話だが、彼がかけがえのない家族である猫に囲まれ過ごした「猫まみれ」なその私生活の描写も胸キュンです。

必見! 伝説のライブ・エイドの21分間が蘇る

2時間15分の本作の最大のクライマックスは、間違いなく1985年のライブ・エイドの再現シーンだ。フレディとクイーンの歴史の頂点をライブ・エイドと捉えた認識自体については議論の余地があるけれど、それでも演者とスタッフの全精力を傾けて撮られたこのシーンには、どうしたって高ぶってしまうのだ。ブライアンとロジャーがきっちり監修しているので音響のバランスもバッチリ、これはもう大スクリーンで観てくださいとしか言いようがない必見の21分間なのです。

クイーン全面協力、とにかくサントラがすごい!

ブライアンとロジャーが音楽総指揮として全面的に協力している『ボヘミアン・ラプソディ』だけに、劇中のライブ・シーンで流れる音源は、すべて実際のクイーンのライブ音源から採られている。中には本作のオリジナル・サウンドトラックで初アルバム化されたライブ音源もあるし、そもそもライブ・エイドの音源自体が映像音源ではなく、オーディオ・トラックとして商品化されるのも今回のサントラが初だ。

また、クイーンの前身バンド「スマイル」のライブ・シーンのために、なんと50年ぶりにボーカルのティム・スタッフェルを含むスマイルのメンバーが再集結してレコーディングした“Doing All Right”の音源も収録されている。映画の予習としても、そして余韻を楽しむお供としても必携のサントラなのです。(粉川しの)




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