前回の来日公演でも思ったが、ジェイムス・ベイはライブだと古典的ロック・スター・モードが強まる。
この人は巨大な才能の持ち主で、その才能のどの部分を強調するかによってアーティストとしての表情が変わって来る。
優れたメロディー・メイカーとしての才能、文学性の高い歌詞を書くシンガー・ソングライターとしての才能、モデルもこなすロック・スターとしてのルックスとオーラ、ギタリストとしての豊かな才能、ありとあらゆるものを彼は持っている。
言うまでもなくその全てがジェイムス・ベイなのだが、ライブだとロック・スター・モードに自然に振れていくみたいで面白い。しかもとても古典的なスプリングスティーン的なロック・スターの方向だ。きっと本人は意図的なものでなく自然なことで、正しい反射神経が働いているのだと思う。特にライブ後半はスプリングスティーン的なギアが入り、古典的なロックンロール・モードが爆発する。
前回のライブではここまでやらなくてもと思ったりもした。この人のモダンな立ち位置が見えなくなってしまう気がした。
しかし今回、同じ展開を見せるステージから感じたのは、まさにこれが彼にとってのモダン・ロックなのだということ。
君はジェイムス・ブラウンかという、ベタな「ホールド・バック・ザ・リバー」前の焦らしを含め、様式としてのロックの対象化の見事さを堪能できた。
サマーソニック 2016でジェイムス・ベイを観る
2016.08.21 19:09