MGMTにはフジの魔法がかかったのか

MGMTにはフジの魔法がかかったのか

すみません、投稿もれしておりました。今夜のMGMT、苗場初登場にしていきなりホワイト・ステージのトリ。

サマーソニックで観た初来日も、へろへろだった。28日にゼム・クルックド・ヴァルチャーズのオープニング・アクトに出たときも、やっぱりへろへろだった。

もはや、MGMTのライブ・パフォーマンスとは、そういうものだと思っていた。そういうことで、彼らは自身の存在を規定し、これからも進んでいくものだと思っていた。

ちょっと違っていた。(28日のときも感じていたのだけど)ファーストの楽曲は十二分に血肉化され、生演奏での表現のステージに上がっていた。そしてセカンドの楽曲も、現在のMGMTを申し分なく提出する強い演奏として提出されていた。

いや、それでも、やっぱりMGMTのライブ・パフォーマンスは、その前のワン・デイ・アズ・ア・ライオンにおけるザック一人の「音量」に比べれば、小さいものではあった。あったのだけど、この夜のMGMTは、実に堂々としていたのである。

ヘンな言い方かもしれないけれど、もしかしたら、突如としてたったいま、バンドがすべてを掌握したんじゃないだろうかと思った。『コングラチュレイションズ』のあの「翻弄」の波を、軽やかに乗りこなす自画像をこのホワイト・ステージで獲得してしまったのではないか。かなたのロキシー・ミュージックに「ブライアン・イーノ」を投げかけながら、あるいはダン・トレーシーの名を語りながら、はたまたストーンズになんかなれないんだよと歌いながら。ロック・フェスのグルーヴの中で、MGMTは自らを外部ではなく、ロック・ヒストリーの当事者のひとりとして自己確認したかのようだった。

フジの魔法がかかったみたいだった。(宮嵜広司)
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