タランティーノの長編第8作を観た。
タランティーノは特に『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』『ジャッキー・ブラウン』の初期長編3作で、「この世は、こんな風に救いようのない地獄だが、まあ、せいぜい楽しめや」と教えてくれた。
だいたいラストには、救いになるのかわからないぐらいの、ちっぽけな「お守り」みたいなものは持たせてくれるのだが。
でも、それがあることによって、偽悪的でも偽善的でもないドライなバランスが生まれて信用できた。
『キル・ビル』以降の、そこまでドライに振り切らなくなってからの映画も好きなのだが、今回の『ヘイトフル・エイト』はここにきて「あの感じ」が完全復活!
しかも、その味がサミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ティム・ロス、マイケル・マドセンなど、タランティーノファンにはたまらないキャストの演技と共に煮込んだシチューのように熟成されている。
あと8人のなかで紅一点にして史上最悪にビッチなデイジー・ドメルグが、タランティーノ映画の名キャラランキングに一気に食い込むほどのヤバさ。
演じるジェニファー・ジェイソン・リーはタランティーノ映画初参戦だが、ほんと凄い女優だ。
というわけで、タランティーノ自身が「恐らく、これは俺の最高傑作といえるだろう」と語っているけれど、この発言がけして大袈裟ではないということは約束できる。
2月27日公開。(古河)
クエンティン・タランティーノ『ヘイトフル・エイト』、これヤバい!
2016.01.14 10:46