トム・ヨークの発言を受けて、8組の若手アーティストがスポティファイについて語る
2013.10.11 21:15
今年の7月に若いアーティストのためにならないとしてスポティファイから音源を引き上げたレディオヘッドのトム・ヨークだが、『NME』ではディスクロージャー、エヴリシング・エヴリシング、ザ・ヴァクシーンズなどの若手アーティストのストリーミングについての意識調査を動画インタヴューで行っている。
各アーティストの発言の抜粋は以下の通り。
ピース
「インターネット・ストリーミングは時にはいいと思うよ。より広いオーディエンスに届けられるからで、もしそのレコードを買えないような時でも聴くことはできることになるわけだからね」
チャイルドフッド
「あるアーティストについてなんか噂を聞いたことがあって、でも作品を聴く術がなかったとしたら、お金がなくて買えなかったりとかね、そうしたらなんかしら聴ける手段があるというのはすごいことだよね。それがきっかけでそのアーティストのライヴに行くことになるかもしれないし、もうちょっとファンに近い存在になるかもしれない。だから、必ずしもお金を払わずに音楽を聴くことができるというのはすごくいいことだとは思うんだよ。長い目で見れば、聴き手もそのバンドに対して他の形でお金を払うことになるんだからね」
エヴリシング・エヴリシング
「ファイル共有とか、インターネットにおいて音楽へのアクセスが簡単になっているという議論全体について、特に見過されてる点はなにかというと、アーティストがただお金をもっとほしがっているわけではないということなんだ。そうじゃなくて、駆け出しのアーティストとしてはレコード会社への(ファースト・アルバムの)借金をきちんと返済できる環境を整えたいということなんだね。そうやって、セカンド以降の作品も作れる環境を作りたいということなんだよね」
スウィム・ディープ
「僕は個人的には別に人に提供して10ポンド(約1600円)もらいたくて音楽を作ってるわけじゃないし、人に提供して、君に印象づけて、これまで感じたことのない新しいものを感じてもらうために音楽を作ってるわけでもないんだ。ただね、もっと人が聴ける音楽を作り続けていくためには、その10ポンドはほしいんだよ」
「今じゃね、音源を非合法的にダウンロードするのって恥ずかしいくらいだよ。少なくとも僕はそんなことやってる人を1人も知らないし、やってると人に知れたら結構恥ずかしいよ。それにスポティファイで聴いたアルバムがすごく気に入ったら、それを自分で買うと思うんだ。それは自分もバンドをやってるからアーティストがどういう気持ちなのかっていうのがよくわかるからね。でも、自分がアーティストじゃなかったら、そんなことお構いなしなんだろうし、そうしたら一日中ストリーミングしておしまいなのかもしれないね」
ダニエル・エイヴァリー
「僕みたいに比較的規模の小さいインディ・レーベルでやっていて、しかも、マネージャーもいなくても、自分の音楽を数千人の単位にすごく早い期間に届けることができるんだよ。それで世界中のいろんな国から声をかけてもらってDJをやらせてもらっているからね。それはすごいことだよね」
ディスクロージャー
「アーティストやDJ、特にDJっていうのはライヴではよっぽどすごいお金をもらってるんだよ。各地をジェットで乗り継いで出演しまくっているわけで、本当に今稼いでいるよりもさらにお金を稼ぐ必要があるのっていう世界なんだよ。おぞましいほどのお金をもう稼いでいるのに、っていう感じでね。だから、状況が逆転しちゃってるんだよね。昔は休みなくタダで、ま、タダっていうか最小限のお金でツアーをして、アルバムを宣伝して、レコードを各所でかけてもらうように触れ回ってたわけだよね。でも、今じゃアルバムの方がツアーの宣材になっちゃってるんだよ」
ジョン・ホプキンス
「正直言って、特に考えることじゃないんだよね。9ヶ月もかけて作品をようやく仕上げた後では誰かに作品を聴かれてもこっちに実入りがないのかもしれないとか、そんなことは考えたくもないんだよね(笑)。もうなんとか乗り切ってっちゃうしかないっていうかさ。だから、インターネットでもきちんと環境が整うと希望を持つしかないし、なんかそれは実現されつつあるようにも思えるんだよね。ちょっとだけね。まあ、楽観主義なんだけどさ」
ザ・ヴァクシーンズ
「ストリーミングは好き嫌いにかかわらず未来の形なんだろうし、そういう方向に行くんだろうなとは思うよ。スポティファイに関しては、今は頭に来てる人も多いけど、それも時間をかけてバランスが取れていくんじゃないのかな」(アーニ-・ヒョーヴァー)
「要するにまだ新しいものだからね。だから、公平なものになるまでいろいろ調整期間を経るもんだと思うよ。レーベルの方でどれだけお金を奪われているか、きちんと自覚できるようになったりね。それとアーティストもね。でも、だからって夜眠れなくなるような話題じゃないよね」(ジャスティン・ヤング)
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