マムラ @ 渋谷クラブクアトロ
2007.11.01 00:00
フジロックから3ヶ月のショート・インターバルでの単独来日を果たしたマムラ。今回の公演の印象は「肉が詰まった」とでも言うべきか、彼らがデビュー・アルバム『ジーズ・シングズ・ムーヴ・イン・スリーズ』で象った奇妙な形の入れ物に、ついに中身がギュウギュウと詰め込まれたような、そんな充実を感じさせるパフォーマンスだった。このマムラは英ブライトンの隣の小さな港町出身の5ピース。およそ現在のUKインディ・ギター・シーンの震源地とは程遠いその長閑な環境の中で、彼らは比較される同世代のバンドもいなければ、ロールモデルになるべき年近な先輩バンドもいないような場所ですくすくと、自分達だけの音楽性を育んできた「珍種」である。もともと捻くれた小難しい音楽をやろうとしていたわけではなく、先入観も何もないピュアな素材だったからこそ期せずして捻くれてしまったという、そんな出自を持つ彼らのサウンドは、一寸先のテンションが推し量れないカラフルな万華鏡のようでもある。英伝統のギタポ節から轟音のウォール・オブ・サウンド、ニューウェイヴ調の変則リズムに、静謐なアコギのアルペジオ、なんでもかんでも取り込んで収集つかなくなっていたかつてのパフォーマンスを思うと、今夜のタイトで緩急自在に操られるテンションはうれしい驚き。ヴォーカル&ギターのヌー(※本名です)も、その体脂肪率5%!?な見事なペンシル体型を激しく折り曲げへし曲げ、フロントマンとして終始オーディエンスを煽りまくり。そんな彼の激しくシアトリカルなパフォーマンスもまた、今のマムラにはジャストに嵌る感じなのだ。しかも数曲披露された新曲はいまだかつてなくトライバルで冒険的なアレンジが際立っており、「奇妙な形の入れ物」に「肉が詰まった」からと言ってそれがマムラの完成形ではないことも予期させてくれた。まだまだこのバンドは伸びますよ。(粉川しの)
