音速ライン @ 中野サンプラザホール

音速ライン、初のホールワンマン@中野サンプラザホールということで、仕掛けたっぷり、豪華な演出たっぷり、そして、1月からスタートしたツアー『TOUR ハッとしてサプライズ 2009』のファイナル公演ということもあり、特別感満載のライブを届けてくれた。場内が暗転すると“Hello Hello Hello”をBGMに、ステージ前方を覆う白い幕にこれまで藤井が書いてきたキャラクターが次々と映し出されていく。そのまま、“WWG”でライブがスタート。白い幕はそのままに演奏する2人が大きな影絵となって映し出される。2曲目“our song”の始まりで「ドーン!」という爆発音とともに白い幕が落ち、驚きとともにテンションは一気に上昇! 初めてのホールライブとは言え、オーディエンスは前半の畳み掛けるようなアッパーナンバーの連続で拳を掲げたり、大久保(B)が客席に「もっと、もっと、もっとー!」とステージギリギリのところまでせり出して煽れば、負けじと応戦したり、藤井(Vo/G)がボーカルを客席に預ければ大合唱が起こる。ライブハウスに比べれば物理的に距離は遠いかもしれないけど、「もっと近くに感じたい」というオーディエンスの気合いがホール全体を包み込み、すごくいい空間が生まれている。音速ラインって生粋のライブバンドなんだなということを改めて気付かせてくれた。藤井が自ら「初のホールでこのぬるさはどうなの?」と問いかけるくらい、いつものゆるーい調子のMCは相変わらず。しかし、この広さではさすがにきつかったらしく、「俺、ホール用のキャラに変わるわ」と言って、なぜかキレキャラで「なめてたら、ぶっとばすぞ!」「俺達、これから今世紀最大のファンキーチューンやるからー、踊んなかったら承知しないぞ」と管をまく。そして、続くサプライズとして初めてライブにキーボードを導入し、音速ライン史上一番ダンサブルなナンバー“スナフ”を披露。サポートドラマー大木が叩き出す裏打ちのリズムとともに、極彩色のライトに照らされた会場は一気にダンスフロアと化した。“KAZAHANA”では白い紙雪が花のようにフワリと舞い降りてきたり、“ポラリスの涙”では無数の星が煌くようなライティングで感涙ものの空間を演出したり、ホールならではの演出の数々に驚かされっぱなし。ただでさえ原風景を蘇えらせてくれるような、その情景と感情が湧き上がるような言葉とメロディーなのに、こうした演出とともに聴くと洪水のごとく切ない感情が胸に込み上げてくる。しかし、本当に残念でならなかったのは藤井の声の調子だった。前半でも辛そうに歌っているのは傍から見ていても分かったのだけど、後半に突入する前についに藤井は喉の不調を伝えた。「自分が情けなくて、気持ちだけでも伝えようと思って一生懸命歌って。本当に悔しくて泣いちゃいました…」とその場でオーディエンスに今の気持ちを吐露した。そんな剥き出しの本心をかき消すようにまた嘘に嘘を重ねて……藤井:「来月からスウェーデンにレコーディングに行ってきます。初の海外レコーディングです。4月の下旬くらいにリリースされますんで」大久保:「ウソです」。そんな掛け合いでまたオーディエンスの笑いを誘っては、いつものまったりムードに変えていく。でも不思議なことに、声が思うように出ないことをオーディエンスに伝えてからの後半、逆にすごく伸びやかに声が出ていたような気もする。音速ライン随一の歌謡ハードロックナンバー“恋の魔法”では高音部分もキレイに出ていたし、“逢いたい”では壮大なストリングスの音色とともにグッと気持ちが込められていた。特にサビメロのボーカルを観客に渡すと大合唱が沸き起こった。何とも言えない温かさに包まれクライマックスを迎えた瞬間、勢いよく飛び出したキラッキラの銀テープの演出にまたも驚かされてしまった。アンコール前の映像演出も、アンコールで客席から藤井が登場したことも、2回目のアンコールが終わって「本日の公演はこれで終了です」と藤井、大久保自らで影アナをしつつも「終了しましたと言いたいところですが、まだ、サプライズ足りてないでしょ。もう1曲やります」と、ステージに再び現れて音速ライン初のトリプルアンコールに突入したことも、頭から最後までサプライズだらけの一夜。これだけハッとさせられる演出だらけにもかかわらず、最後は「俺達はロッカーなんで、あんな演出はいりません。全部曲で伝えます。今日来てくれたみんなに最大級のありがとうの気持ちを込めて。ほんっっとにありがとうございました!」といって、ラストは“ありがとうの唄”で締めくくった。「言葉にできない気持ちを音楽にする」と藤井も言っていたけど、初のホール公演とか、ホールならではの演出とか、声が思うように出ないとか、物理的な要因でライブの良し悪しが左右されるものじゃなく、音速ラインは常に気持ちで勝負しているバンドなんだということを改めて実感させられた。そういう意味で、この初ホールライブはいつもに増してストレートな想いを乗せた「伝わる」ライブだったと思う。(阿部英理子)
1.WWG
2.our song
3.旅ガラス
4.疾風のように
5.ロレッタ
6.季節風
7.みずいろの町
8.スナフ
9.フラッシュバックサマー
10.恋人よ
11.KAZAHANA
12.冬の空
13.スローライフ
14.ポラリスの涙
15.大切な人
16.ヒトカケ
17.恋の魔法
18.逢瀬川
19.逢いたい
20.C/T/YEn.1
1.スワロー
2.街風En.2
1.優しい雨とこのままでEn.3
1.ありがとうの唄
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