孤独の昇華

ライアーズ『TFCF』
発売中
ライアーズ TFCF
前作『メス』リリース後、アーロン・ヘムフィルとジュリアン・グロスが脱退し、実質的にアンガス・アンドリューのソロ・プロジェクトとなったライアーズ。昔からアンガスに対しては、背丈のデカさや狂気を宿した風貌に、バットホール・サーファーズのギビー・ハインズと似たものを感じていたが、やはり1人になったことで何かタガが外れたのだろうか。この新作はジャケットからして、そんな感触を伝えてくる。

当然のようにバンド事情の変化を反映し、前作で聴かれた(得体の知れなさをあちこちに漂わせつつも)ダンサブルなエレクトロニック・サウンドは、今回すっかり影を潜めてしまった。サンプラーを多用し、生ギターの音などもフィーチャーしつつ、全体的にダウナーなムードが基調となっている。個人的に『メス』はかなり好きで、もう何作かその路線で進んでいってくれればいいなあと考えていたから、自分にとってはやや呑み込みにくい第一印象。それでも、ずっと追いかけてきた聴き手にとっては、これもまたライアーズの通常運転の範囲なのだろうし、しばらく流し続けていたら妙にハマりそうな感触もなくはない。(鈴木喜之)
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