「音楽を動的で千変万化するもの、そして絵画を静的なものだと考えるなら、
私がしようとしていることは、静的な音楽と動的な絵画を制作することだ。
私はそのふたつの形で音楽の従来のコンセプトと絵画の従来のコンセプトの間に存在するスペースを見つけようとしているのだ」
とはイーノによる自身のインスタタレーションの説明。
週末11日、過去のレア曲や未発表曲を集めた6枚組ボックスが発売された。インスタレーションでしか披露してこなかった楽曲や、イーノ・オンライン・ストアのみで過去に限定販売していた作品などのレア曲が詰まった作品だ。
その瞬間に、その場でしか体験できないインスタレ―ションを、音楽だけで聴くとどうなるのだろう?と思ったが、より自由に想像力を刺激させられる体験だった。
と同時に、リズムや音の質感、自動生成など、イーノのキャリアにおけるひとつひとつの実験が、壮大な宇宙を生み出している面白さがあった。
今日5月15日はイーノの70歳の誕生日。このめでたい日に、じっくり聴いてみてほしい。
イーノの夢に包まれながら就眠したら、最高の夢が見れそうだ。
ボックスには、世界各地で披露したインスタレーション作品が収められているが、
日本としては、2006年・東京のラフォーレミュージアム原宿『77 Million Paintings』で初演した作品が収録されている。
日本盤にはボーナス・トラックが2曲収録されている。
1998年、奈良・吉野の山奥にあるパワースポットとして有名な天河神社に奉納したインスタレーションの体験が忘れられず、ぜひ聴きたかったのだが、残念ながら収録されていなかった。
そういえば80年代のデヴィッド・バーンとのかかわりの中で、イーノはゴスペルを聴き始めたそうで、電子ゴスペルに興味があると語っていた。
宗教はまったく違うが、そういう興味もちょっとあったりしたのだろうか??
写真は、本作と以前リリースされたボックス。ヴォーカル中心のVOL2だけ購入し、VOL1を後で買おうと思っているうちに入手できなくなってしまって後悔…。
ボックスは高価だし場所もかさばるし躊躇するけど、買い逃すと出会えない場合が多い。ストリーミング時代にはむしろ最優先すべき作品なのかもしれない、とも思う。
今年は、ロキシー・ミュージックのデビュー45周年ということで、ファースト『ロキシー・ミュージック』のデラックス・エディションも発売されたし、いろいろ嬉しい。(井上貴子)
ブライアン・イーノ『ミュージック・フォー・インスタレーションズ』
Brian Eno “Music For Installations”
発売中
※6枚組CDスタンダード、6枚組CDスーパー・デラックス、9枚組LPスーパー・デラックスの3形態。
スタンダードは日本盤で発売、他2形態は輸入盤のみ。
詳細はこちら→https://store.universal-music.co.jp/artist/brian-eno/
【ディスク1】
『ミュージック・フロム・インスタレーションズ』
Music From Installations
<日本盤特典>
英文解説の翻訳付/SHM-CD仕様/2曲のボーナス・トラック収録
01: 「カザフスタン(Kazakhstan)」
2017年、カザフスタンで開催されたアスタナ国際博覧会の英国館にて、アシフ・カーンが企画したインスタレーション『We Are Energy』で初演
02: 「ザ・リタン・ベルズ(The Ritan Bells)」
2005年、ブリティッシュ・カウンシルが企画した『Sound in the City』の一環として中国北京の日壇公園で行われたイーノのインスタレー
ションで初演
03: 「ファイヴ・ライト・ペインティングス(Five Light Paintings)」
1985年、イタリア・ベニスのギャラリー・キャバリーノにて行なわれたイーノのインスタレーション『Pictures Of Venice』で初演
04: 「フラワー・ベルズ(Flower Bells)」
2017年、イタリア・バーリのカステッロ・スヴェヴォで行われたイーノのインスタレーション『Light Music』で初演
【ディスク2】
『77 ミリオン・ペインティングス』(未発売)
77 Million Paintings
01: 「77 ミリオン・ペインティングス(77 Million Paintings)」
2006年、東京のラフォーレミュージアム原宿にて初日を迎えた『77 Million Paintings』で初演
【ディスク3】
『ライトネス – ミュージック・フォー・ザ・マーブル・パレス』
(限定盤CDとしてイーノ・オンライン・ストアのみで過去に販売)
Lightness - Music For The Marble Palace
01: 「アトモスフェリック・ライトネスア (Atmospheric Lightness)」
02: 「チェンバー・ライトネス(Chamber Lightness)」
1977年、ロシア・サンクトペテルブルクのロシア美術館にて行なわれたイーノのインスタレーション『Lightness in the Marble
Palace』で初演
【ディスク4】
『I ドルミエンティ / カイト・ストーリーズ』
(それぞれ限定盤CDとしてイーノ・オンライン・ストアのみで過去に販売)
I Dormienti / Kite Stories』
01: 「I ドルミエンティ (I Dormienti)」
1999年、ロンドンにあるラウンドハウスのアンダークロフトにて行なわれたイタリア人彫刻家、ミンモ・パラディーノとのこの名を冠したインスタレーションで初演
02: 「カイツ I (Kite I)」
03: 「カイツ II (Kite II)」
04: 「カイツ III (Kite III)」
1999年、フィンランドのヘルシンキ現代美術館で開催されたブライアン・イーノのインスタレーションで初演
【ディスク5】
『メイキング・スペース』
(限定盤CDとしてイーノのインスタレーション会場及びルーメンのウェブサイトのみで過去に販売)
Making Space
01: 「ニードル・クリック(Needle Click)」
02: 「ライト・レッグス (Light Legs)」
03: 「フローラ・アンド・ファウナ/グリーゼ581d (Flora and Fauna /Gleise 581d)」
04: 「ニュー・ムーンズ (New Moon)」
05: 「バナジウム (Vanadium)」
06: 「オール・ザ・スターズ・ワー・アウト (All The Stars Were Out)」
07: 「ホープフル・ティミアン・インテーセクト(Hopeful Timean Intersect)」
08: 「ワールド・ウィズアウト・ウインド (World Without Wind)」
09: 「デライトフル・ユニバース (Delightful Universe (seen from above) 」
10: 「パープル・ゾーン」(Purple Zone) *日本盤ボーナストラック
自らのインスタレーション会場での限定販売用にイーノが作ったコンピレーション。2010年のブライトン・フェスティヴァルのゲスト・アーティスティック・
ディレクターだった時に発売開始
【ディスク6】
『ミュージック・フォー・フューチャー・インスタレーションズ』(未発売)
Music For Future Installations
01: 「アンノーティス・プラネット (Unnoticed Planet)」
02: 「フウ属 (Liquidambar)」
03: 「サワー・イブニング(コンプレックス・ヘヴン3)(Sour Evening (Complex Heaven 3)) 」
04: 「スルバハール・スリーピング・ミュージック(Surbahar Sleeping Music)」
05: 「モディファイド・フィッシュズ」(Modified Fishes (No Wah)) *日本盤ボーナストラック
【6枚組CD スタンダード・エディション】 <UICY-15731/6 : 9,800円+税>
ボックス・セット 64ページのブックレット
2曲のボーナス・トラック収録(ディスク5に「パープル・ゾーン」と6に「モディファイド・フィッシュズ」)
【6枚組CD スーパー・デラックス <輸入盤のみ>】
限定盤 ナンバー入りボックス・セット、64ページのアクリル板表紙付きブックレット、ダウンロード・カード付ブライアン・イーノと長年コラボレーションしてきたニック・ロバートソンがデザインした素晴らしい装丁の、限定盤でナンバーリングされたスーパー・デラックス・パッケージにはエキシヴィションでの珍しい写真や初公開の写真に加え、イーノ書き下ろしの解説が入った64ページのブックレットを収容。
・ナンバーリング入、完全限定仕様スーパー・デラックス・エディション
・12 x 10インチ(約30センチ x 25センチ)のボックス仕様
・6枚のCDには半分が未発売、残りも限られた形のみ発売の音源が収録
・64ページのブックレットには珍しい写真や初公開の写真に加え、イーノ書き下ろしの解説を収容
・ボックスのデザインはニック・ロバートソンが担当
・マット・コルトン(ロンドン/アルケミー・スタジオ)によるマスタリング(『メイキング・スペース』のみケヴィン・メトカルフェ(サウンドマスターズ)が担当
・ダウンロード・カード付
【9枚組LP スーパー・デラックス・エディション <輸入盤のみ>】
レコード・ボックス・セット、64ページのブックレット、ダウンロード・カード付ブライアン・イーノと長年コラボレーションしてきたニック・ロバートソンがデザインした9枚組LPボックス・
セットにはエキシヴィションでの珍しい写真や初公開の写真に加え、イーノ書き下ろしの解説が入った64ページのブックレットを収容。
・12 x 12インチ(約30センチ x 30センチ)のボックス仕様
・6枚のCDには半分が未発売、残りも限られた形のみ発売の音源が収録
・64ページのブックレットには珍しい写真や初公開の写真に加え、イーノ書き下ろしの解説を収容
・ニック・ロバートソンによってデザインされたダイカット内袋に9枚のLPを収容
・収録音源は半分が未発売、残りも限られた形のみ発売の音源が収録
・マット・コルトン(ロンドン/アルケミー・スタジオ)によるマスタリングおよびカッティング
・LPとしては初発売、完全限定盤。
【海外プレスリリースより】
ミュージシャン、プロデューサー、ヴィジュアル・アーティスト、思想家そして活動家であるブライアン・イーノは、1970年代初頭、まずはロキシー・ミュージックのオリジナル・メンバーとして世界的に注目された。グループ脱退後からほどなくして、高い評価を受け、影響力をもったソロ・アルバムを相次いで発表。彼の先進的なプロダクションにはデヴィッド・ボウイ、トーキング・ヘッズ、ディーヴォ、ローリー・アンダーソン、
コールドプレイらとのアルバムがあり、コラボレーションの長いリストにはジョン・ケイル、デヴィッド・バーン、グレイス・ジョーンズ、ジェイムス・ブレイクとの作品が含まれる。
同じように注目に値すべきものであり、しかもおそらくさらなる功績を残しているにも関わらずあまり論じられていないのが、彼のライトとヴィデオを使った視覚的実験である。これが彼の他の多くの作品を育んできた豊かな土壌であり、レコーディングよりもさらに長い期間に渡って行なわれ、ここ数十年間彼の音楽作品と同時に存在してきた。
その高評価を得た作品は、ヴェネツィア・ビエンナーレやサンクトペテルブルクの大理石宮殿から北京の日壇公園やシドニー・オペラ・ハウスの帆型の屋根まで舞台にし、世界各地でその姿を見せてきた。
『ミュージック・フォー・インスタレーションズ』は、新しい曲、珍しい曲、未発表曲のコレクションであり、
いずれの曲もアナログ・レコード化されるのは今回が初めて。どの作品も、イーノによって1986年から現在(そして今後)に至るまでに行なわれたインスタレーションで用いるためレコーディングされた。この期間に、彼は世界中でジェネラティヴ・ミュージックの第一人者として注目されるようになり、最高のオーディオ・ヴィジュアル・インスタレーション・アーティストのひとりとして認められている。
ブライアン・イーノと長年コラボレーションしてきたニック・ロバートソンがデザインした素晴らしい装丁のパッケージに入っているのは、エキシヴィションでの珍しい写真や初公開の写真に加え、イーノ書き下ろしの解説が入った64ページのブックレットだ。