僕はビークルの“初ワンマン”というのを体験していて、作品でいうと『FORESIGHTS』(写真)の頃だから2001年くらいでしょうか。場所は下北沢シェルター。
もちろんインディーズ時代で、ヒダカトオルはまだサラリーマンでした。
この日は平日だったんですが、
いくらなんでもこの日くらいは休みを取ってるだろう、という大方の予想を覆し
開演時間を15分ほど過ぎたところで流れたアナウンスは、以下のような調子。
「え〜、皆様に悲しいお知らせがあります。ヒダカトオル、サラリーマンのため
現在、会社で残業中との連絡が入りました。
終わり次第、すぐに自転車で駆けつけるとのことですので
もう少々お待ちください」
まあ、ビークルのお客さんですから、場内は爆笑の嵐だったんですが、
僕は内心、「これ、実は本人ちゃんと現場にいて、
わざわざこんなアナウンスを流して笑い取ってんじゃないか?
あの男の場合、あり得る…」とか思ってました。
そこからは、そんなに待つ事も無くメンバーがステージに表れ
「BE MY WIFE」をオープニングに、初ワンマンらしい
時間を気にしない、大枚振る舞いのライヴをやってくれた記憶があります。
で、後日、あの日のことを尋ねてみたところ、
「何て事言うんですか! あの日は本当に死ぬ思いだったんですから!」と
怒られてしまいました。
なんでも、半休を取って2時からリハーサルを始めて、
4時頃で終わったまではよかったんですが、
ふと仕事が気になって会社に戻ったところ大変なことになっていて
あんなドタバタ状態になってしまったそうです。
出待ちの時間を利用して一旦会社に戻り、一仕事片付けてそのままライヴに突入する男。
やるなあ…と感激を新たにした瞬間でした。
