名義や表現スタイルの変遷を経て、今や売れっ子プロデューサーとなった彼が、≪僕が欲しかったものはチャンスだけだ≫(“チャンス”)と歌うのは重みがある。或いは、80年代エレクトロのトラックにデボラ・ハリー(ブロンディ)を招いた“E.V.P.”では、≪生き方を選ぼうとしても、それで人生が成り立つわけじゃないさ≫という悲しい達観が伝えられる。サウンドは作品ごとにリッチさを増し、カーリー・レイ・ジェプセンやネリー・ファータド、エンプレス・オブらの豪華客演もあるが、安住の地はない、とばかりにエレクトロ・ポップの個性を加速させている。美しいほどに哀しいアルバムだ。なお「フリータウン」とは、父親の故郷である西アフリカの国シエラレオネの首都なのだそうだ。(小池宏和)
心のフリータウンを探して
ブラッド・オレンジ『フリータウン・サウンド』
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ALBUM
名義や表現スタイルの変遷を経て、今や売れっ子プロデューサーとなった彼が、≪僕が欲しかったものはチャンスだけだ≫(“チャンス”)と歌うのは重みがある。或いは、80年代エレクトロのトラックにデボラ・ハリー(ブロンディ)を招いた“E.V.P.”では、≪生き方を選ぼうとしても、それで人生が成り立つわけじゃないさ≫という悲しい達観が伝えられる。サウンドは作品ごとにリッチさを増し、カーリー・レイ・ジェプセンやネリー・ファータド、エンプレス・オブらの豪華客演もあるが、安住の地はない、とばかりにエレクトロ・ポップの個性を加速させている。美しいほどに哀しいアルバムだ。なお「フリータウン」とは、父親の故郷である西アフリカの国シエラレオネの首都なのだそうだ。(小池宏和)
